Fabrication of Iron substrate for YBCO coated conductors
岡井 大祐 (兵庫県立大/JST-ALCA); 土井 俊哉 (京大/JST-ALCA); 山本 厚之 (兵庫県立大)
Abstract:YBCO超電導テープ線材の実用化のためには,YBCOテープ線材の材料コスト,及び製造コストの両方の低コスト化が重要な課題である.Ni系金属基板の代わりに安価なFe金属基板を用いることで材料コストを下げることが期待できる.本研究では,RABiTS法によるテープ線材の作製を行うために必要な2軸配向したFe金属基板の作製を圧延と熱処理により試みた.YBCOテープ線材用の金属基板として,FeテープにはNiテープと同様にCube方位({100}<001>)集合組織が求められる.実験では,冷間圧延と熱処理を施したFeテープの集合組織をSEM-EBSD(Scanning Electron Microscope-Electron BackScattered Diffraction pattern)法により観察した.
95%冷間圧延を施した純鉄テープに対して,800℃×1hの熱処理と950℃×1hの熱処理をそれぞれ行った.800℃×1hの熱処理を施した試料は{111},{100}面方位を含む集合組織であったが{111}面方位が最も支配的であった.950℃×1hの熱処理試料では,800℃×1hの試料と比較して,{100}面方位が増加し,{111}面方位は減少した.圧延後の熱処理工程では,γ鉄(fcc)からα鉄(bcc)への相変態温度(912℃)以上で熱処理を行うことで,圧延面に対してCube方位の粒を増加させることができることが明らかとなった.