高温超電導線材特性に対する含浸熱処理時の温度と時間の影響

Influence of temperature and duration at epoxy impregnation process to I-V characteristics of HTSs


狩野 開, 道辻 健太, 矢崎 真二郎, 柄澤 彰良, 王 旭東, 石山 敦士 (早大); 宮原 信幸 (放医研)


Abstract:超電導線材を機器応用する際には、加工時にはんだ付けやエポキシ含浸といった高温環境下にさらされる。超電導コイルの含浸に用いられるエポキシ樹脂は熱伝導率や熱膨張率の観点から硬化温度の高いものが適しているため、エポキシ樹脂を選定する際に超電導特性に対する温度と時間の影響を評価する事が極めて重要である。
これまでに市販されているYBCO線材を用いて、温度をパラメータに10分間の加熱を行い、超電導特性の劣化開始温度を評価してきた。その結果195℃までは劣化が確認されなかった。
また、一般的なエポキシ樹脂の硬化温度(135℃)において、その時間をパラメータに加熱を行い、加熱前後の超電導特性(Ic)を評価してきた。その結果、36時間までは劣化が確認されなかった。
そこで今回はYBCO線材を用いて、劣化を許容できる最大温度(195℃)において時間をパラメータに加熱を行い、加熱前後の超電導特性(Ic)を評価した。
また、劣化したサンプルに対しRINT-UltimaⅢ(XRD分析)による酸素欠損評価の実験を行ったので報告する。
なお,本研究の一部は科研費(基盤研究A:No. 23246053)に依ったことを付記する。