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Cuメッキ実用RE123系線材のコイル化の検討

The coil of RE123 coated conductor stabilized by Cu plating


本間 久雄, 山田 穣, 山田 雄一, 大熊 武, 和泉 輝郎, 塩原 融 (SRL); 岩熊 成卓 (九大)


Abstract:超電導機器では、実用上、大電流通電が必要であり、そのためには伝導冷却等により30K〜50Kの低温に冷却して使用することが想定される。今回、Cuメッキした長尺のRE123線材を作製し、コイル化および冷凍機冷却による励磁試験を行ったので、その結果を報告する。

1)5㎜幅でIcが400A/cm級@77K、0Tの線材を用いて内形状80mm×115㎜、外形状90mm×125㎜の10m級長円形シングルパンケーキコイルを作製し、含浸前後の液体窒素中(77K)でのIc測定を行った。結果、含浸前でIc122A、n値は 37.3のものが、含浸後で120A、n値 34.4と線材の劣化はほとんど見られず、巻き線・含浸できたことがわかった。
2)上記コイルの直線部から長さ50㎜のサンプルを切り出し、巻き線の半径方向の熱伝導率を測定した。結果、構成部材の寸法、熱伝導率から考えられる計算値に対して、その1/4程度しかなく、計算値をそのまま適用できないことがわかった。熱伝導率が計算値より低い原因としては、各構成部材の界面の接触状態によることが考えられ、コイルの構成に応じて実測が必要である。
3)5㎜幅でIcが400A/cm級@77K、0Tの線材を用いて、10m級コイルと同じ製法で内形状80mm×115㎜、外形状167mm×315㎜の100級長円形シングルパンケーキコイルを2個作製し、それを2個積層・接続して2層コイルとした。このコイルを冷凍機による伝導冷却下で試験温度60Kでの熱暴走試験を行った。コイルIcは353A(1μV/cm定義,電極を含むコイル両端電界0.001〜0.01μV/cmからの外挿値)であったが、熱暴走はそれよりも低い電流値193.1Aで発生した。コイルの各位置に電圧端子を設定し、熱暴走の発生位置を調べたところ巻き始めから内径側12mの間であり、その部分の発生電界は0.93μV/cmであった。線材のIc-B-θ-T特性から、60Kでは磁場強度によるIc抑制が支配的と予測され、コイルの磁場強度の高い部分と一致していた。