Nondestructive Inspection of Flat Braided CFRP Using HTS-SQUID Gradiometer
新山 陽平, 廿日出 好, 田中 三郎 （豊橋技科大）； 高井 由佳, サイードアリハッサン モハメド, 仲井 朝美, 濱田 泰以 （京都工芸繊維大）
Abstract:複合材料の一種である組物CFRPは軽量で比強度が高く、形成した組物内の繊維が連続しているため複雑な構造でも強度が高いという特性を持っている。組物CFRPの品質検査を行うには、非破壊検査が必要となるが、炭素繊維束は数mmと細いため、高い空間分解能と感度が必要となる。我々はこれまで高感度・高空間分解能を持つ小型のSQUIDグラジオメータと電流注入法に関する研究を行ってきた。これは、導電性サンプルの電流密度分布に類似するサンプル上面の磁場勾配分布をSQUIDグラジオメータで測定し、これらの分布から内部状態を評価する方法である。この研究では、45度の角度で平らに組んだ炭素繊維を押しつぶしてエポキシ樹脂で固めた組物CFRPサンプルを用意した。このサンプルの上面の磁場勾配分布をSQUIDグラジオメータにより測定した結果、初期サンプルでは磁場勾配の分布がほぼ一様であったが、一部45度の繊維に沿って磁場勾配の低いラインが観測された。磁場勾配分布測定後、サンプルに引張負荷を与えたところ、低い磁場勾配が観測された45度のライン上でせん断破壊が発生した。また、破壊発生後は、サンプル上の磁場勾配が破断箇所を中心に大きく変化した。このことから、SQUIDグラジオメータによる非破壊検査システムにより組物CFRPにおける破断の開始箇所の予測ができる可能性を示した。