Jc properties in the magnetic field of the SmBCO coated conductor formed by introducing Sm-rich layers
久保 勇人, 吉田 隆, 一野 祐亮, 芝本 峰 (名大); 吉積 正晃, 和泉 輝郎, 塩原 融 (SRL)
Abstract:本報告では、磁場中Jc特性の向上を目的としてPLD法を用いてIBAD-MgO基板上にSm1.04Ba1.96Cu3Oy(SmBCO)とSm1.2Ba1.8Cu3Oy(Sm-rich)を積層した薄膜を作製し、Jc特性の評価を行った。作製した薄膜は、基板上にSm-rich層をc軸配向テンプレート層として40 nm作製し、その上にSmBCO層を200 nm、Sm-rich層を10、40、100 nmと変化させ、さらにその上にSmBCO層を200 nm作製した。
77 Kでの自己磁場下におけるJc測定の結果、Sm-rich層を40 nm積層した薄膜ではSmBCO膜と比べてJcが向上した。さらに、B//c方向の磁場中において0〜9 Tの全磁場領域でJc特性が向上し、B = 1、3 Tにおける磁場印加角度依存性の測定結果からはB//c方向にJcのピークが確認された。また、Sm-rich層を100 nm積層した薄膜では自己磁場でのJcは低下したが、B//c方向の磁場においてB = 3 T以上の磁場下でJc特性が向上した。
以上の結果を踏まえ、膜厚を一定として積層するSm-rich層の層数を変化させた薄膜を作製し、その磁場中Jc特性についても当日は報告する予定である。