1B-p05

hcp固体ヘリウムの固体超流動第1臨界速度の検証を目指して

Search for the first critical angular velocity of supersolid state in hcp 4He


八木 雅彦, 宮 利雄, 久保田 実 (東大); 北村 玲 (新潟大); ロガツキー クリストフ (Institute of Low Temperature and Structual Study, Wroclaw, Poland); ミュラー ロバート M. (IFF, Forschungzentrum Juelich, Germany)


Abstract:前回鹿児島の学会で、2C-a13 「回転下高感度ねじり振り子実験と固体He超流動と量子渦糸観測用ISSPクライオスタット」と言う題で発表した。今回、更に50 mK 以下10 mK 程度迄の低温度で、回転容器に渦糸が1本入り始める第1臨界角速度Ωc1の測定を目指す活動と、その意義と技術を紹介する。超流動現象は、液体ばかりでなく、気体、でもその量子渦の存在に依って検証されているが、固体が結晶構造を持ちながら同時に超流動の性質を示しうるかどうかは、1960年代から理論的にその蓋然性が議論されて来た。我々はhcp固体He中に「高温超流動状態」と、「量子渦状態」が実現している事を主張して来た。本報告は、これらに加え、固体超流動性を決定づける第1臨界角速度の実験的観測の努力を紹介する。第1臨界角速度は、超伝導のHc1に相当し、この回転速度以内の回転状態では超伝導での磁束(渦糸)が排斥されたMeissner状態に対応するLandau状態が出現しているのか、興味深い。