ターゲット交換法により作製したBaSnO3添加Sm1Ba2Cu3Oy薄膜の磁束ピンニング特性と微細構造観察

Flux pinning properties and microstructures of the BaSnO3 doped Sm1Ba2Cu3Oy thin film prepared by Alternate Targets Method


鶴田 彰宏, 一野 祐亮, 吉田 隆 (名大); 一瀬 中 (電中研); 松本 要 (九工大); 淡路 智 (東北大)


Abstract: 本報告では、SmBCO薄膜内により強いピンニング力を有するBaSnO3(BSO)ナノロッドを導入することを目的として、ターゲット交換法(Alternate Targets Method)を用いてPLD法により、単結晶LaAlO3基板上にBSOを添加したSm1Ba2Cu3Oy薄膜を作製し、その微細構造及び超伝導特性を評価した。作製した薄膜のBSO添加量はSm1Ba2Cu3OyターゲットとBSOターゲットそれぞれに照射するレーザーパルス数の制御により4.8 vol.%とした。
 77 KにおけるJcの磁場依存性の測定の結果、1.8 Tの磁場下でJcが1.36 MA/cm2、Fpにして24.48 GN/m3と非常に強いピンニング力を有することが確認された。これは同様の添加方法で4.8 vol.%のBSOを添加したSm1.04Ba1.96Cu3Oy薄膜のFpMAX = 15 GN/m3に比べ向上しており、SmBCOの組成がBSOの成長に何らかの影響を及ぼしていることが示唆される。また、微細構造観察の結果、両者のBSOの形状がわずかに異なっていることが確認された。