ポインチングベクトル法によるソレノイドコイル形状長尺HTS線材の交流損失測定装置の改良 −同時掃引時の交流損失特性に及ぼすサンプル自己磁界の向きの影響−

Improvement of AC loss measuring system for long HTS tapes formed into a solenoidal coil by Poynting’s vector method -Effect of self field direction of a sample coil on its AC loss properties under simultaneous application-


向井 実樹成, 八重山 洋平, 作田 大夢, 川越 明史, 住吉 文夫 (鹿児島大)


Abstract:高温超伝導線材で発生する交流損失は機器の効率を低減させるため、実用条件下で交流損失を精度良く測定し、その特性を定量的に評価することが重要である。これまでに我々は、外部磁界と輸送電流について制約条件の少ないポインチングベクトル法を応用し、様々な試料形状に適用可能な交流損失測定装置の開発を行ってきた。しかしながらこれまでは、可動型のピックアップコイルとポテンシャルリードの対を用いて測定していたため、極低温環境で動作する駆動機構が必要であった。そのため、広いスペースが必要であるだけでなく、不具合が生じて測定時間が長くなるなど、汎用性に課題があった。そこでこの課題を改善する手法として、固定型のピックアップコイル群とポテンシャルリード群を使用する方法を提案し、その有効性を示した。今回は、交流輸送電流と交流外部磁界の同時掃引時において外部磁界に対するサンプル自己磁界の向きを反転させた測定を行った。通電電流は10,20Arms,外部磁界は70〜300Grms,周波数は30Hzで測定した。その結果、コイル形状サンプルに起因するサンプルコイル内側と外側の自己磁界の差により、自己磁界の向きによって交流損失特性に違いが観測された。