人工ピン入りY系線材のJc特性の不均一性について

Variation in the Jc characteristics of YBCO wire with artificial pinning centers


李 潤錫, 仲村 直子, 駒込 敏弘 (前川); 小方 正文, 水野 克俊, 長嶋 賢 (鉄道総研)


Abstract:超電導線材の臨界電流密度の磁場角度依存性(Jc(H,θ))は超電導コイルの設計上重要なパラメーターであるが、人工ピン入りY系線材においては、人工ピンのランダムな分布によるJc(H,θ)のバラツキの可能性が言及されている。本研究では、ロットの違う2つのZr:GdYBCO線材のJc(H,θ)を1~8cmの異なる区間で測定し、それらの差異を調べた。その結果、異なる測定区間でのJc(H,θ)がよく一致することが分かったが、ロット毎にJc(H,θ)が異なることが観察された。つまり、Jc(H,θ)を測定する際に1cm以上の測定距離であれば人工ピンのランダムな分布による影響はないが、超電導コイルの設計の為にはコイル線材と同一スプールの短尺線材のJc(H,θ)データを使うのが望ましいと思われる。