Flow simulation of protein solution in a superconducting magnet
岡田 秀彦, 廣田 憲之, 松本 真治, 和田 仁 (NIMS)
Abstract:X線解析用の良質のタンパク質結晶を得るために、宇宙の微小重力環境を使う方法が有効と考えられている。これは、結晶化過程において溶液の対流が抑制されるためと考えられている。これと同じ環境を地上で実現する方法として、超電導マグネットが発生する高磁気力により重力を制御し微小重力環境を作る方法が提案されている。
今までの、磁場中の流体の運動に関しては多くの実験的、理論的研究が行われてきたが、多くは一様磁気力や特定の磁気力分布を想定したもので、実際の超電導マグネットの磁気力分布を考慮した研究はなかった。本研究で開発中のハイスループットでタンパク質結晶を生成する装置では多くのサンプルを同時に実験しなければならないため、室温ボアの中心軸を外れた所にサンプルを置く必要がある。そのため、サンプルは中心軸上とは異なる水平方向に非対称な磁気力を受けることになる。
本発表では、高磁気力を発生する超電導マグネット内でのタンパク質溶液の運動を実際の磁気力分布を用いて計算機シミュレーションを行った。その結果、今までの研究では考えられていなかった磁気力の非一様性が、流れや濃度分布に大きく影響する事が分かったので報告する。