強磁性体の磁気浮上―バルク体周辺の磁場分布と浮上制御―

Levitation of iron block using trapped filed in HTS bulk material -magnetic field distribution around HTS bulk and control of iron block-


吉田 亮平, 二ノ宮 晃, 瓜生 芳久, 石郷岡 猛 (成蹊大)


Abstract:我々は、着磁した一対の超電導バルク体間で、軟鉄性円柱(10mmΦ,長さ10mm)を浮上させることに成功している。この原理を理解するために、浮上体を空間で固定させた状態で、バルク体と浮上体間に働く電磁力、浮上体近傍の磁束密度測定等について検討してきた。また、安定浮上させるには浮上体の大きさとギャップ間に一定の関係があることもわかってきた。
 これらの事実を踏まえて今回検討した項目は、浮上原理にバルク体がどのように寄与しているかを把握することである。そのため、超電導バルク体近傍の磁場分布を浮上させた状態で測定した。これより、浮上体がバルク体に近づいたとき浮上体部分の磁場が小さくなり、遠くなった側では逆に磁場が減らずにほぼ一定かやや増加していることを確認した。これらは、空間に軟鉄材料を安定浮上させるために、バルク体に新たに誘起されたしゃへい電流によるものと考えられる。
 この事実より、バルク体は空間の磁場変化を感知してしゃへい電流が誘起されれば復元力が加わると判断できる。すなわち、浮上体が安定浮上していないとき、バルク体が磁場変化を感じれば浮上が可能になると考えられる。これを検討するために、着磁したバルク体間で片側にくっ付いた浮上体に着磁磁場よりも大きな外部磁場を印加させたところ、予想通り浮上体を中央に移動させる事が可能となった。これより、しゃへい電流を誘導させる設備を新たに付加することで、安定浮上していない磁性材料も浮上させることが可能であることが判った。