低温トランスを用いた二段トランスによるHTS-SQUIDの低ノイズ化に関する検討

Noise reduction of HTS-SQUID using cold transformer


北村 善洋, 赤井 友宣, 竹本 真, 廿日出 好, 田中 三郎 (豊橋技科大); 田辺 圭一 (SRL); 荒井 英一, 片山 弘行 (JOGMEC)


Abstract:我々はHTS-SQUIDマグネトメータを用いた地下資源探査技術の研究を行っている。
資源探査の現場では、SQUIDに直接鎖交する磁気ノイズは都市部や研究室の環境より少ないと考えられるが、SQUID・エレクトロニクス間のケーブルやヘッドアンプに誘導的に混入する電磁ノイズはS/N低下の原因となる。電磁ノイズが混入すると、通常用いられる常温トランスによりSQUID出力とともに増幅されて、エレクトロニクスに伝達され、システムのノイズを増加させる。そこで、本研究では、SQUID直近に77 Kの低温トランスを配置して、SQUID出力を初段で増幅しておき、その後段に常温トランスを配置する2段トランスにより電磁ノイズの低減を試みた。
素子にはHTS-SQUIDマグネトメータを用い、磁気ノイズを排除した上で電磁ノイズの影響を調べるため三層ミューメタル磁気シールドケース中で液体窒素冷却した。
エレクトロニクスは地下資源探査用に開発された変調型FLL回路を使用した。
本実験では、低温でも透磁率の変化が少ないアモルファス磁性体ビーズをコアに用いた低温トランスおよび常温トランスを数種類用意した。
低温および常温トランスの増幅率の合計が20倍になるように巻き数比を調整し、それぞれの巻き数を変化させてノイズを計測した。
その結果、巻き数比が5:50の低温トランスと巻き数比が100:200の常温トランスを組み合わせたときにシステムノイズが185 fT/Hz^1/2となった。
この組み合わせによって、従来の1段常温トランス(巻き数比7:140)を用いた場合のノイズ260 fT/Hz^1/2より34%ノイズを低減することができた。