中性子回折を用いたITER TF導体の内部歪測定

Neutron diffraction measurement of internal strain in ITER TF conductor


辺見 努, HARJO Stefanus, 松井 邦浩, 中嶋 秀夫, 伊藤 崇芳, 相澤 一也, 鈴木 裕士 (原子力機構); 町屋 修太郎 (大同大); 土屋 佳則 (NIMS); 長村 光造 (応用科学研)


Abstract:熱処理温度923 Kから運転温度5 KまでのNb3Sn素線とステンレス鋼の熱膨張率の違いによって導体内には残留歪が生じる。Nb3Sn素線の超伝導特性は残留歪の状態によって大きく変化するため、その特性を評価するためには残留歪の状態を把握する必要がある。しかし、複雑な構造とジャケット材の内側に素線が配置されているため、導体内の素線の歪を直接測定することは困難である。一方、J-PARCで2008年から運転が開始された工学材料回折装置「匠」は中性子回折を用いて歪として相対精度0.02%で測定することが可能である。本研究では、匠による中性子回折をITER TF導体の内部歪の測定に適用した。中性子回折では格子面間隔の変化により導体内の各相の歪を決定することが可能である。これにより、素線の残留歪の発生機構及び歪状態と超伝導性能の関係を明らかにすることが可能となった。