内部Mg拡散(IMD)法によるMgB2線材の作製ーフィラメントサイズの組織・特性への影響

Fabrication of Internal Mg diffusion processed MgB2 wires-Influence of filament size on structure and properties


戸叶 一正 (NIMS); 許 子萬 (東大); 松本 明善, 熊倉 浩明 (NIMS)


Abstract:本研究の目的は、従来のPIT法に替わるMgB2の新たな線材化法として我々が現在開発を進めている内部マグネシウム拡散(IMD)法が、工業ベースのスケールアップが可能かどうか検討することにある。
そのため今回は単芯および7芯、19芯の多芯線材を作製した。複合体は19芯まで一様に加工され、素線としてはさらに大きな加工度でも加工が可能であると期待される。
すべての線材についてMgの融点(650℃)直下の熱処理温度で最も高い輸送臨界電流値(Ic)が得られた。この温度領域でのMgとBとの拡散反応距離は数十ミクロン程度に限定される。したがって多芯化は効率的な反応を得るために有利である。
いままでに得られいる反応層あたりの臨界電流密度は4.2K, 10Tで約十万A/cm2に達し、PIT線材を凌ぐ値が得られている。
発表ではさらに微細組織と臨界電流密度特性との関連についても議論する。