ナノ磁気ビーズを用いた血液中水銀の磁気分離による浄化(その2)

Research on purification by magnetic separation of mercury in blood using nano magnetic beads


岡本 貴之, 三浦 大介 (首都大); 竹内 道広 (駒沢腎クリニック)


Abstract:現在、世界的に水銀汚染が拡大しているため、水銀は生物濃縮されており、食物連鎖の頂点に立つ人間の体内の水銀量は増加傾向にあります。過度の水銀暴露は重大な健康被害を引き起こす原因ともなります。しかし、現在の血液浄化装置では水銀を浄化出来ません。そのため、我々は血液から水銀を減らすために、血液浄化装置のダイアライザー(透析器)を超伝導磁気分離に置き換えた新たなシステムの開発を行っています。水銀は磁性を持たないため磁気分離できません。そこで、本研究では水銀を吸着する官能基を修飾したナノサイズ磁気ビーズの開発、評価を行いました。開発した磁気ビーズは0.5Tで磁気分離を行い、数分で、磁気ビーズ1gあたり最大で6.3mgの水銀を吸着しました。これをラングミュアプロット解析したところ、化学吸着を示していました。また、ジチオスレイトールを用い、水銀を吸着した磁気ビーズから水銀のみを脱離する事が出来る事を確認しました。更に、アルブミンに吸着した水銀の剥奪実験を行いました。