超電導バルク磁石を用いた湿式磁気分離法による資源回収の基礎的研究

Fundamental Study on Recovery of Resources by Magnetic Separation under Wet Condition Using Superconducting Bulk Magnet


岡田 晋吉, 西嶋 茂宏, 秋山 庸子, 三島 史人 (阪大)


Abstract:液晶ガラスを製造するにあたり、ガラス基板を研磨する工程が必要となり、研磨剤として酸化セリウム(セリア)が用いられている。ガラス研磨後、セリアはシリカと共に研磨廃液中に分散しているが、懸濁状態であるためにそのまま廃棄することができない。そのため、現在は研磨廃液に凝集剤を加えてセリアなど含有固体を凝集沈殿させることで、スラッジとして産廃処理している。そこで、本研究では超電導バルク磁石を用いた磁気分離法によってセリアの回収を試みた。これは、研磨廃液中の凝集剤は鉄系であり、マグヘマイトあるいはヘマタイトの形態でセリアに付着していると推測されるため、この付着力を解消することにより凝集体を磁気的に分離することが可能であると考えられたためである。ここでは、超電導バルク磁石を用いて磁気力を大きくするとともに、研磨廃液中のpHを調整して粒子表面の帯電状態を制御することで付着力の解消を試みた。磁気フィルターについては、洗浄の容易さから鉄球を利用した。凝集状態の解消に関して、pHを3程度まで下げることで粒子の分散性が高まることが顕微鏡観察により確認できた。磁気分離実験に関しては、pHを極力下げずに分離効率を向上させるために、ドラッグ力と磁気力を制御し、鉄の化合物とセリアの磁性差を利用して付着力を解消することを検討している。この考えに基づき、連続的な磁気分離装置の設計を目指して実験を行った。