二層超電導電力ケーブルにおける交流損失の解析的モデル

Analytical model of the ac losses in power cables with two-layer superconducting tapes


馬渡 康徳 (産総研); MALOZEMOFF Alexis P. (AMSC)


Abstract:高温超電導テープ線材を用いた電力ケーブルは,多数のテープ線材が円筒フォーマの周囲に多層に並列して配置された構造をもつ.このような多層電力ケーブルの交流損失の振る舞いを理解するためには,多層に巻かれたテープ線材における層同士の電磁相互作用を解明することが重要である.超電導テープ線材が二層に巻かれた電力ケーブルを考えるとき,内層に流れる電流は外層に大きな影響を及ぼすが,外層に流れる電流が内層に及ぼす影響は比較的小さいと考えられる.

本研究では,このような二層超電導電力ケーブルの交流損失を解析するための簡単なモデルを考案した.外層と内層の電磁相互作用について簡単な仮定を設けて,二層電力ケーブルの問題を単層電力ケーブルの問題に帰着させ,超電導テープ線材に生じる交流履歴損失について臨界状態モデルを基に理論的考察を行った.

本研究の一部は,ISTECを通じてNEDOからの委託を受けて実施したものである.