Reduction of AC losses in Bi2223 tapes with resistive barriers in a perpendicular magnetic field
稲田 亮史, 奥村 康裕, 牧原 知秀, 太田 昭男 (豊橋技科大); 李 成山, 張 平祥 (西北有色金属研究院)
Abstract: テープ形状を有するBi2223線材において,垂直横磁界下での磁化損失低減を商用周波数域(50-60Hz)で実現するには,フィラメントにツイストを施すだけでなく,フィラメント間への高抵抗材(バリア)導入により横断抵抗を向上させることが必須である。本研究では,SrZrO3バリア(Bi2212を20wt%混合)を導入したBi2223ツイスト線材を作製し,通電特性および垂直磁界下での交流磁化損失特性を系統的に評価した。
横断抵抗の大幅向上には,バリアである酸化物をある程度厚く導入し,完成試料におけるバリア層の連続性を確保する必要があるが,バリアが厚すぎると複合材全体としての加工性が低下してしまう。このため,ツイストを施した際に線材構造が乱れ,通電特性(Jc)が大きく低下する問題がある。これを踏まえて,(1)バリアの導入厚の調整,(2)線幅の狭小化(<3mm),(3)ツイスト加工時の中間熱処理の導入,等の改善を行った。結果として,非ツイスト試料でJc=17-19kA/cm2,ツイスト長4〜7 mmの試料でJc=12-14kA/cm2を得た。
ツイスト長が最も短い(4mm)試料において,77K・垂直磁界下でフィラメント間結合が生じる目安となる結合周波数fcは 260Hz程度と見積もられた。更に,50Hz近傍の垂直磁界損失は10〜50mTの範囲で同一寸法の非ツイスト試料の50%程度(4mm幅線材の60-70%減に相当)に低減されていることを確認した。Bi系線材の過去の研究において,fc(垂直磁界下)>250HzとJc>10kA/cm2を同一試料で達成した報告は我々の知る限り皆無であり,極めて重要な成果と考える。