1D MRI measurements using ULF-MRI system with HTS-rf-SQUID
福元 翔平, 勝 行広, 鈴木 美帆, 森田 遼介, 長沼 悠介, 廿日出 好, 田中 三郎 (豊橋技科大)
Abstract:MRIは、体内に多く存在する1Hに勾配磁場を印加した状態で、rfパルスを印加することにより得られるNMR信号の強度分布を画像化する技術である。従来のMRIでは、1.5T以上の静磁場を発生する超伝導磁石をベースとしており、それにより装置が大型、複雑となる問題があった。一方近年、μTオーダーの静磁場を用いる超低磁場MRIが注目されている。超低磁場MRIでは、超伝導磁石を必要とせず、低周波で感度の高いSQUIDをセンサとして用いることで、従来技術よりも低コストで簡易なシステムを構築できるというメリットがある。そこで我々は、取り扱いの容易なHTS-rf-SQUIDを用いた超低磁場NMR装置の試作を行ってきた。今回、試作したシステムに勾配磁場コイルを導入し、20mlの水を半分に区分けしたサンプルからの1次元MRIスペクトルの取得を試みた。45μTの静磁場を印加し、勾配磁場を印加しなかった場合、1912Hzに一つのピークを持つ1H-NMRスペクトルが得られた。これに対し、11.2nT/cmの勾配磁場を印加した場合、1912Hz付近に二つのピークをもつMRIスペクトルが得られた。この二つのピーク間周波数差は、分割された水の重心間距離と磁場勾配の強度に対応しており、磁場勾配に比例して増加した。また、本システムで勾配磁場をかけない状態で、水と鉱油それぞれのNMRスペクトルを計測した結果、鉱油サンプルから水の1/3程度の信号強度を持つNMRスペクトルが得られた。また、分極磁場の印加時間を変化させてNMR信号を計測することで、水及び鉱油の縦緩和時間T1として、3.3sおよび0.8sと異なる値が得られた。これらの結果より、現行のシステムで1H及びT1コントラスト画像を取得できる可能性が示された。