市販 MOCVD-(RE)BCOテープの Jc の幅広い温度領域での磁界角度依存性と磁束ピン止め

Magnetic-field angle dependent Jc and flux pinning in commercial MOCVD-(RE)BCO tapes in a wide temperature range


山崎 裕文 (産総研); 李 潤錫 (前川); 古瀬 充穂 (産総研)


Abstract:我々は、これまでに、市販の YBCO 薄膜(THEVA 社製共蒸着法薄膜)、テープ線材(SuperPower 社製 MOCVD-YBCO テープ、及び、American Superconductor 社製 MOD-YBCO テープ)の液体窒素温度での磁界角度依存性 Jc(H,θ) を誘導法で測定し、H // ab のまわりの富士山型の Jc ピークや、それよりも鋭い山型のピークを観測してきた。ごく最近、山崎らは、フッ素フリー MOD 薄膜では、積層欠陥と YBCO マトリクスとの界面に生成する転位(ab 平面内の線状ピン)が主要ピンであり、それと磁束との交点がランダムピンのようにふるまうことを示した(Yamasaki et al, SUST 23 (2010) p. 105004)。今回、SuperPower 社製の市販テープの Jc(H,θ) を 20-80 K の幅広い温度範囲で通電法によって測定した。基本となる YBCO テープでは、磁界角度依存性とその温度変化がフッ素フリー MOD 薄膜と同じ挙動を示すことから、ab平面に平行な線状ピン(転位)が主要なピンとなっていることを推定した。これに対し、Zr をドープした GdBCO テープでは、非常に複雑な磁界角度依存性を示した。