方向分散した柱状欠陥を含むYBa2Cu3Oy薄膜の臨界電流密度の磁場角度依存性

Angular dependence of critical current density in YBa2Cu3Oy


末吉 哲郎, 西村 太宏, 米倉 健志, 藤吉 孝則, 光木 文秋, 池上 知顯 (熊本大)


Abstract:PLD法で作製したYBa2Cu3Oy薄膜のc軸に対して,重イオンを1〜3方向から照射することで,方向が分散した柱状欠陥を導入し,臨界電流密度Jcへ与える影響について調べた.照射角度が45°の交差した柱状欠陥を導入した試料では,1方向の平行な柱状欠陥を含む試料と比較して,マッチング磁場より高磁場で顕著なJcの減少が見られた.一方,同じ照射量で照射角度が0°,±45°の交差した柱状欠陥では,マッチング磁場以上の高磁場においても高いJcを示した.Jcの磁場角度依存性においては,±45°の交差した柱状欠陥を含む試料では,磁場角度-45°〜45°の範囲でフラットな台形型のピークを示すのに対し,0°,±45°の交差した柱状欠陥では,磁場角度0°を中心のブロードなピークを示した.