FeTe0.5Se0.5超伝導線材の電流輸送特性と微細構造観察

Transport properties and microstructures of iron-based FeTe0.5Se0.5 superconducting wire


尾崎 壽紀, 出口 啓太, 水口 佳一, 熊倉 浩明, 高野 義彦 (NIMS)


Abstract:我々は、鉄系超伝導線材の作製に取り組んできた。鉄系超伝導体は上部臨界磁場(Hc2)が高く応用への可能性が期待される。なかでもFeSeなどの11型鉄系超伝導体は、結晶構造が最も単純であり、LaFeAs(O,F)などの鉄ヒ素化合物と比較して毒性も低いため線材作製に有利である。我々は、鉄シースを用いたin-situ Powder-In-Tube (PIT)法で作製したFe(Te,Se)線材の超伝導電流の通電に成功した。そこで、11型鉄系超伝導体の線材化を目指してex-situ PIT法を用いてFeTe0.5Se0.5超伝導線材を作製した。FeTe0.5Se0.5の粉末を鉄シースに詰めて加工するだけで、3.5 Kでゼロ抵抗が得られた。更に200 ºCで2時間、熱処理を行うことで9.1 Kまで向上し、自己磁場Jcは64.1A/cm2(@4.2 K)を示した。これは、熱処理を行うことで粒界特性が改善されたこと、及び加工による歪が緩和されたためと考えられる。本発表ではex-situ PIT法を用いて作製したFeTe0.5Se0.5超伝導線材のアニール条件によるTcの変化、及び電流輸送特性と微細構造観察について報告する。