ロボット式モバイルHTS-SQUID非破壊検査装置による水素燃料タンクの欠陥検出

Detection of Crack in Hydrogen Fuel Tank using Robot-based Mobile HTS-SQUID Nondestructive Inspection System


廿日出 好, 林 啓太, 田中 三郎 (豊橋技科大); 田辺 圭一 (SRL)
hatukade*eco.tut.ac.jp


Abstract:近年、SRLの田辺らによりランプエッジジョセフソン接合を用いた新しい積層型HTS-SQUIDグラジオメータが開発されている。このHTS-SQUIDグラジオメータは、従来のバイクリスタル接合を用いたHTS-SQUIDグラジオメータと比較して、4、5桁大きな約1.5mTの交流磁場中まで磁束トラップ・ジャンプが生じないという高い磁場耐性を持つことを前回同学会にて報告した。今回、このグラジオメータを小型クライオスタットにマウントし、ロボットアームに搭載したモバイルHTS-SQUID非破壊検査装置を用いて、従来非破壊検査技術の適用が困難な積層型水素燃料タンクの内部欠陥亀裂検出を行い、装置の有効性を実証した。ここでは、タンク内層の厚さ3mmのアルミ容器内側に亀裂欠陥をもつ水素燃料タンクをサンプルとして用意し、金属深部まで渦電流を誘導できる低周波数渦流探傷法を応用したタンク非破壊検査を行った。まず、円筒シリンダー形状のタンクの表面に沿って、サンプル表面とSQUID間距離を変化させないようSQUIDを移動させて自動走査を行うロボット動作・測定プログラムを作成した。励磁コイルには直径約30mmのダブルD型コイルを用い、励磁磁場として振幅約20μT、周波数400Hz(アルミへの侵入深さ約13mm)?10kHz(同2.6mm)を用いた。本装置を用いて、水素タンクを低周波数励磁しながら、SQUIDを走査させてタンク表面曲面内における渦電流応答磁場勾配分布を計測したところ、上記の周波数帯域においてタンク亀裂に由来する四極子的信号を検出することができた。また、欠陥信号強度は約1kHz付近の励磁磁場においてピークをもつことが分かった。