極薄X(X:Ni, B)層を人工ピンとして導入したMgB2薄膜のマッチング磁場とX層間隔

Relationship between matching fields and X-layer spacings in X-layer inserted MgB2 thin films


土井 俊哉 (鹿児島大); 北口 仁 (NIMS )
doi*eee.kagoshima-u.ac.jp


Abstract:MgB2超伝導物質は金属間化合物でありながらそのTcは39Kと高く、また2ギャップであるなど、非常に興味深い特徴を有している。我々は、MgB2超伝導薄膜に1nmのNi層を挿入したMgB2/Ni多層膜や5nmのB層を挿入したMgB2/B多層膜を作製し、そのピンニング特性を調べてきた。今回、それらの試料のJc及びFpの印加磁場依存性について検討した。何れの試料においても、非超伝導層挿入間隔と印加磁場がマッチングする磁場でFpが最大値を示した。また、非超伝導層挿入間隔がマッチング間隔の2倍或いは1/2となる印加磁場においてはFpの極大は出現しなかった。これは、1T以上といった非常に大きな磁場が印加された場合でも、即ち、磁場侵入長を考慮した場合に隣接する量子化磁束線同士がほぼ重なってしまうような状態においても、量子化磁束線は単独で存在し、三角格子を組んでいることを示唆しているものと思われる。