HTS-rf-SQUIDを用いた低磁場NMRに関する研究

Study of Low-Field Nuclear Magnetic Resonance Using HTS-rf-SQUID


廿日出 好, 林 正浩, 勝 行広, 福元 翔平, 田中 三郎 (豊橋技科大)
hatukade*eco.tut.ac.jp


Abstract:近年、100μTまでの低磁場を用いた低磁場SQUID-NMR/MRIに注目が集まっており、本研究では扱いの容易なHTS-rf-SQUIDを用いた低磁場SQUID-NMRシステムを試作した。本システムでは磁場感度80fT/Hz1/2の基板共振型HTS-rf-SQUIDを用いた。また、静磁場、分極磁場、ACパルス磁場、勾配磁場用のコイルとして常温コイルを用いた。静磁場として約50μTを印加し、静磁場による微弱な核磁気モーメントの強度を補う約40mT、5秒間の分極磁場を印加して自由誘導減衰(FID)信号を発生させ、これを上記SQUIDで計測するシーケンスを、遅延パルス発生器を用いて開発した。このシーケンスを用いて市水20mlのプロトン1HのFID信号を計測することができた。一方、サンプル周辺の静磁場の均一性を向上するための補正勾配磁場を導入したところ、補正以前の横緩和時間T2と比較して約1.7倍長い2.2秒のT2を示す1HのFID信号を計測することができた。また、上記シーケンスにACパルス磁場を加えて、スピンエコー信号が得られるACパルス磁場の強度と時間について実験的に検討した。この結果、45μTの静磁場における1Hのラーモア周波数1908HzをもつACパルス磁場の強度が約1mTの場合、分極磁場オフ後の2.5s以降にAC磁場を16ms間印加することにより180°エコー信号が得られることがわかった。