加圧焼成法によって作製された200A級Bi-2223線材の更なる高臨界電流密度化に向けた検討:線材内電流分布と超伝導フィラメントの電流輸送についての考察

Consideration on the further increase of critical current in the 200A class Bi-2223 tape fabricated by the controlled over pressure process: Analysis of the internal current distribution in the tape


本田 貴裕, 東川 甲平, 井上 昌睦, 木須 隆暢 (九大); 綾井 直樹, 菊地 昌志, 林 和彦, 佐藤 謙一 (住友電工)
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Abstract:現在、加圧焼成法によるBi-2223線材の臨界電流(Ic)は200Aを超えるレベルに達しているが、その臨界電流制限因子は未だ充分に解明されていない。本研究では、更なる高Ic化の指針を明らかとするために、線材内の電流分布を磁気顕微法を用いて評価すると共に、フィラメント形状、配置との関係を詳細に調べた。その結果、線材中央付近では平均の臨界電流密度(Jc)に比べ約50%高い値を有しており、77K換算において80〜100 kA/cm2に達している事が明らかとなった。仮に、フィラメント全体でこの値を実現出来れば300A級のIcが実現可能となる。また、Jc分布は各フィラメントの厚さによって支配されており、Jcはフィラメント厚の逆数に比例する特性を示した。この事は、電流を有効に運ぶ領域の厚さは一定であることを強く示唆している。フィラメント厚に対するJcの依存性はまだ飽和していない事から、最適なフィラメント厚はもっと薄いと考えられる。すなわち、線材内のフィラメントを全体に亘ってより均一に、かつ薄く加工できるプロセスが実現できれば、さらなる高Ic化が可能であると考えられる。本研究は、日本学術振興会の科研費(20360143)の助成を得て行ったものである。