エピタキシャルFe-Te-S系超電導薄膜の作製

Fabrication of Fe-Te-S epitaxial superconducting films


松本 要, 春山 康則, MELE Paolo (九工大); 一瀬 中 (電中研); 向田 昌志 (九大); 吉田 隆 (名大); 木須 隆暢 (九大)
matsu*post.matsc.kyutech.ac.jp


Abstract:近年発見された鉄系超電導体の研究が進展しており、バルク体や単結晶を用いた取り組みが広く行われている。しかし応用を考えた場合、この超電導体の薄膜化は大変重要である。そこで本研究では、毒性の低いTeやSを用いたFe系超電導体の薄膜化とその特性の解明を行っている。本発表では、その成果について報告する。Fe-Te-S系はTcは低いものの、その結晶構造はFeの2次元格子構造を基本としており、Fe系全般にかかわる基礎物性の解明に有用であると考えられる。我々はこの物質のエピタキシャル薄膜化に成功しており、すでにTc=6Kを得た。Tcは低いものの、Bc2はWHH理論からの予測によれば60Tに達しており、Fe系特有の基本特性を有していると考えられる。また、最近ではこの物質の圧力効果の研究から30K近傍までのTc向上が報告されており、薄膜化に基づく圧力効果によってTc向上が実現する可能性もある。詳細については当日報告する。