寒剤を用いない希釈冷凍機

Development of Dilution Refrigerator without use of cryogen


半田 梓, 研谷 昌一郎, 西谷 富雄 (岩谷瓦斯); 小原 顕, 矢野 英雄, 石川 修六, 畑 徹 (大阪市大)
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Abstract:従来の希釈冷凍機は液化ヘリウム貯槽が必要なため大型で、操作も複雑かつ一定時間毎の寒剤の補給が必要となるなど、メインテナンスも面倒なものであった。今回、我々はパルス管冷凍機を用いることにより液体ヘリウムだけでなく、液化窒素も不要とする全自動型の希釈冷凍機を開発した。
本希釈冷凍機の特徴は、パルス管冷凍機からの振動をカットするために、ツインタワー方式を採用し、銅細線によるソフト結合により振動を極力抑えた構造とした点にある。この方式により、水平方向にはまだ床振動の3倍程度の振動が残っているが、鉛直方向の振動レベルは床の振動レベルまで低減することができている。また、パルス管冷凍機の1段目温度の50Kに内蔵不純物除去トラップを設置し外部の液体窒素トラップも不要としたため、全くのメインテナンスフリーが実現した。
現在のところ最低温度は14mK 、冷凍能力は、100mK で200μW 以上を実現している。