YBCOコート線材における永久電流の緩和特性の超伝導膜厚依存性

Superconducting layer thickness dependence of relaxation propaties of persistent current in YBCO coated conductor.


松谷 文也, 木内 勝, 姫木 携造, 小田部 荘司, 松下 照男 (九工大); 宮田 成紀, 衣斐 顕, 山田 穣, 塩原 融 (SRL)
matutani*aquarius10.cse.kyutech.ac.jp


Abstract:IBAD/PLD法で作製されたYBCOコート線材については、低温・高磁界における応用の一つとして超伝導磁気エネルギー貯蔵(SMES)が期待されている。ここで高磁界側での臨界電流密度Jc、つまり不可逆磁界Biを向上させるには、超伝導層を厚くすることが有効であることが知られている。これはピンニング相関距離が超伝導層の厚さより長くなる2次元的なピンニングのため、膜厚が薄いとピン・ポテンシャルが小さい値に制限されるためである。一方、低磁界側では膜厚の厚い試料は超伝導組織の劣化が見られることから、薄い試料においてJcが高くなることが知られている。このようにYBCOコート線材における膜厚依存性はとても複雑である。これらのことより、臨界電流特性が膜厚に依存しているため目的に応じた適切な膜厚を設計するには、超伝導線材の臨界電流特性に対する膜厚依存性を検討することが必要である。そこで本研究では、超伝導層の厚さを0.25~1.00μmのYBCOコート線材を用いてSQUID磁力計により磁化緩和測定行ない、Jc-B特性及び見かけのピン・ポテンシャルU0の評価を行った。この結果を、ピン力の分布を考慮した磁束クリープ・フローモデルによる理論結果と比較し検討を行う。