DyBCOコート線材の臨界電流密度における重イオン照射の影響

Effect of heavy ion irradiation on the critical current density in DyBCO coated conductor


磯部 現, 木内 勝, 小田部 荘司, 松下 照男 (九工大); 岡安 悟 (原子力機構); PRUSSEIT Werner (THEVA)
isobe*aquarius10.cse.kyutech.ac.jp


Abstract:現在、高温・高磁界中での臨界電流密度向上を得るためにREBCOに人工ピンをする手法が考えられているが、どのようなピンが有効に働くかまだ良く分かっていない。本研究では、DyBCOコート線材に重イオンを様々な条件で照射し、照射前後の臨界電流密度を評価した。試料は、THEVAによるDyBCOコート線材で、厚さ90 μmのハステロイC276上にISD(Inclined Substrate Deposition)法により厚さ3.7 μmのMgO配向層が成膜され、その上に0.3 μmのMgO-cap層、共蒸着法による1.5 μmのDyBCO層、0.5 μmのAg保護膜が成膜されている。実験は線材の表面に対して垂直方向から重イオンを照射し、SQUID磁力計により臨界電流密度を測定した。照射したイオンはAuとNiで、エネルギーおよびマッチング磁界に換算した照射量は、Au イオンで320 MeV、1 T 、Niイオンで200 MeV、0.5 T、1.0 T、3.0 T、5.0 T であった。Auイオンを照射した試料では大幅な臨界電流特性の向上が見られた。得られた結果に対して、磁束クリープ・フローモデルと要素的ピン力の加算理論を用いて解析を行った。