超1GHzNMRの実現に向けて-Bi-2223ダブルパンケーキコイルの遮蔽電流による磁場とヒステリシス効果(1)-

Towards beyond 1GHz NMR : Drift of screening-current-induced magnetic field and its hysterisis effect in a Bi-2223 double-pancake coil (1)


小山 泰史, 高尾 智明 (上智大); 柳澤 吉紀, 中込 秀樹 (千葉大); 濱田 衛 (神戸製鋼); 木吉 司 (NIMS); 高橋 雅人, 前田 秀明 (理研)
y-koyama*sophia.ac.jp


Abstract:我々はBi-2223高磁場コイルを用いた超1GHzのNMRの開発を進めている。Bi-2223コイルでは、励消磁によりテープ線材に遮蔽電流が生じる。これにより長期的な磁場ドリフトが生じると、磁場-周波数ロックが動作しなくなり、高分解能NMR計測が不可能になる。本報では、複合多芯Bi-2223テープを巻いたダブルパンケーキコイルについて、遮蔽電流磁場ドリフトを研究した。励消磁を繰り返すと遮蔽電流磁場に顕著なヒステリシス効果が現れ、磁場ドリフトも振る舞いを変える。これらの試験結果はrectangular超伝導モデルによる解析と一致した。また、残留磁場の緩和過程から、遮蔽電流磁場の緩和はフラックスクリープが支配的であることを実証した。この場合、磁場ドリフトの変化率は時間と共に小さくなり、1000時間程度で永久電流と同レベルになるので、NMR計測を妨げないことを明らかにした。