YBCO 薄膜におけるナノ析出物による強い磁束ピン止め(2)ー核相互作用の線形和と異方的GL近似による理論解析

Strong flux pinning in YBCO thin films due to nanometer-sized precipitates (2): Theoretical analyses based on a linear summation of the core pinning interaction and an anisotropic GL approximation


山崎 裕文, 大木 康太郎, 山田 博, 中川 愛彦, 馬渡 康徳 (産総研)
h.yamasaki*aist.go.jp


Abstract:直径が 6-25 nm 程度で比較的大きい析出物を含む薄膜では、Jc(θ) でc軸を中心としたブロードなピークが現れるが、直径が 7 nm 以下の非常に小さい析出物を含む薄膜では、ab 平面中心の富士山型の Jc ピークが観測されることを述べた。後者は、ランダムピンと呼ばれていて、異方性パラメーター ε(θ) = [(cosθ)^2 + (sinθ)^2/γ^2]^(1/2) を用いて、Jc(H, θ) = Jc(εH) と、Jc の磁界角度依存性がεH の関数として表現できることが知られていたが、その理由や関数形は分かっていなかった。今回、ナノ析出物のサイズの違いで磁界依存性が異なることを、ピン止めの核相互作用の線形和と角度に依存するコヒーレンス長ξ(θ) を用いて説明することが出来た。理論解析で計算される Jc 値と実際に観測された Jc 値とは、合理的な一致を得た。