鉄ヒ素系新高温超伝導体の合成と超伝導特性

Synthesis and superconducting properties of the new iron-arsenic based high-Tc
superconductors


伊豫 彰 (産総研)
iyo-akira*aist.go.jp


Abstract:2008年の2月に東工大の細野グループによって鉄とヒ素を含む新高温超伝導体LaFeAsO1-xFxが報告されたことを契機に、現在世界中で新超伝導体を巡る研究開発競争が繰り広げられている。 その後、LaはCe, Pr, Nd, Smなどのイオン半径の小さなランタノイドで置換され、その超伝導転移温度(Tc)は、現在では50Kを超えている。更に、酸素を含まない(Ba,K)Fe2As2など別構造の物質やヒ素を含まないFeSe1-xでも超伝導が出現するなど、物質のバリエーションも増えてきた。我々は、フッ素置換に変わるドーピング法を模索した結果、酸素欠損を導入したNdFeAsO1-yTc=54 Kの超伝導になることを見いだした。本講演では、新超伝導体の合成手法、およびそれらの試料を用いた物性測定結果についてその現状を報告する。