超電導電力貯蔵用7 T電磁力平衡モデルコイルの開発-AE測定によるヘリカル巻線の状態推定-

Development of a 7-T Force-Balanced Model Coil for SMES ‐Estimation of the helical winding conditions by AE measurements‐


坪井 謙児, 野村 新一, 粕谷 幸司, 田中 規博, 筒井 広明, 飯尾 俊二, 嶋田 隆一 (東工大); 新井 和昭 (産総研); 二ノ宮 晃, 石郷岡 猛 (成蹊大)
tsuboi.kenji*torus.nr.titech.ac.jp


Abstract:大規模SMES実現の技術的課題の一つに超電導コイルに作用する強大な電磁力の問題がある。この解決策として我々はヘリカル巻線形状の電磁力平衡コイルの開発を行っている。電磁力平衡コイルのSMES用コイルとしての適正を実証するため,NbTi線を用いて総ポロイダル巻数10584ターン,コイル臨界電流値552 A,臨界磁束密度7.1 Tのモデルコイルを手巻きでエポキシ含浸やステンレス線による補強なしで製作し,2007年2月から2008年3月まで通算3度液体ヘリウム浸漬冷却による通電試験を実施した。通算81回のトレーニングを行いコイル臨界電流値の86%相当の476 A,6.1 Tの通電に成功した。2008年3月実施の第3次通電試験ではコイルに3個のAEセンサを設置し,通電中のヘリカル巻線内部の機械的擾乱の計測や,各AE信号の伝搬遅延時間からクエンチ発生位置の推定を行った。これよりクエンチは巻線の特定箇所に集中せず,クエンチを誘発する巻線の動きはヘリカル巻線全体で生じていると推定された。このような巻線の動きを低減させるため,コイル巻線にかかる電磁力を概算し,モデルコイルに加える改良について検討する。