MgB2多結晶体における電気的結合度と臨界電流密度の制限機構の評価(1)
- パーコレーションモデルによる電気的結合度の解析 -

Limiting Mechanisms of Connectivity and Critical Current Density in Polycrystalline MgB2 (1)
- Analysis of Connectivity by the Percolation Model -

山本 明保 (東大);松下 照男 (九工大);下山 淳一 , 岸尾 光二 (東大)
tt57140*mail.ecc.u-tokyo.ac.jp


Abstract:  近年積極的に材料化研究が進められているMgB2超伝導体は、その低い異方性と長い超伝導コヒーレンス長に由来して、多結晶体においても粒間の弱結合はないものと考えられてきたが、試料全体の輸送電流特性は単結晶等から予想される値より著しく制限されることが最近明らかになってきている。例えば、40 Kと300 Kの間の電気抵抗率の差Δρから試料断面のうち有効な電流パスの割合(connectivity: 電気的結合度)を見積もるRowellの解析[1]を用いると、焼結密度50%程度のスタンダードなバルク体試料においてもコネクティビティはわずか数%程度と予想される。多結晶MgB2の粒界に存在する不純物相や空隙等が電流阻害因子と考えられている。一方で、このRowellの解析では参照となる単結晶のΔρの値の妥当性や、多結晶試料内の異方性の影響が除外されている等の問題点があり、MgB2超伝導材料のさらなる高臨界電流特性化の上で、より一般的なコネクティビティの解析は重要である。
 本研究では、同一の原材料から異なる製法により焼結密度が異なる多結晶MgB2バルク試料を作製し、そのΔρを測定した。解析にはパーコレーション問題を平均場近似で求めたKirkpatrickの理論[2]を用い、酸化膜で覆われていない健全な結晶粒の割合aを一定とし、cubic-site系を仮定したところ、実験結果をよく説明できることが分かった。
 前編の本講演では、モデルによる解析から得られたパラメータを用いて、常伝導状態のコネクティビティ・電気抵抗率の制限因子、すなわち空隙、粒界の酸化物相、及び異方性が及ぼす影響について議論を行う。
[1] J. Rowell, Supercond. Sci. Technol. 16, R17(2003).[2] S. Kirkpatrick, Phys. Rev. Lett. 27, 1722 (1971).