MgB2超伝導体における残留磁化とコネクティビティ

Remanent magnetization and connectivity in superconductor MgB2


山本 明保 , 下山 淳一 , 花房 慶 , 堀井 滋 , 岸尾 光二 (東大) ; Anatolii Polyanskii , David Larbalestier (フロリダ州立大)
tt57140*mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
Abstract:  金属系超伝導体で最も高いTc (~40 K)を持つMgB2に対して、20 K近傍での実用化に向けての研究が積極的に行われている。MgB2は低い異方性と長い超伝導コヒーレンス長に由来して多結晶体においても粒間の弱結合の問題がなく[1]、輸送電流は容易に流れると考えられてきた。しかし、近年の輸送特性の研究からMgB2多結晶体のコネクティビティは著しく制限されていることが明らかとなり[2]、常伝導状態における輸送電流の抑制は空隙と粒界の絶縁酸化膜によるパーコレーション問題に起因することが示唆されている[3]。最近、我々は残留磁化法によるコネクティビティの制限因子解明と定量的評価の研究をフロリダ州立大学と共同で進めている。輸送特性評価によるRowellの解析[2]が常伝導状態のコネクティビティを与えるのに対し、残留磁化法は臨界電流に由来する磁化を解析するため、超伝導状態のコネクティビティを直接評価できる可能性を持つ。講演では飽和残留磁化から見積もられるMgB2結晶粒内の臨界電流密度、及び多結晶試料における残留磁化とコネクティビティについて議論を行う。
[1] D. Larbalestier et al.Nature 410, 186 (2001). [2] J. Rowell, Supercond. Sci. Technol. 16, R17 (2003). [3] 松下照男 他, 2007年春季 第54回応用物理学関係連合講演会28p-L-13.