ITERトロイダル磁場コイル用68kA-Nb3Sn導体の超伝導特性

Performance of 68kA-Nb3Sn conductors for ITER Toroidal Field Coils


高橋 良和 , 礒野 高明 , 小泉 徳潔 , 布谷 嘉彦 , 松井 邦浩 , 名原 啓博 , 濱田 一弥 , 辺見 努 , 押切 雅幸 , 中嶋 秀夫 , 奥野 清( 原子力機構)
takahashi.yoshikazu*jaea.go.jp
Abstract:  ITER-TFコイルは、18個のD型コイルで構成されている。運転電流値は68 kA、最大磁場は11.8 Tである。導体はNb3Snのケーブル・イン・コンジット(CIC)型で、中心チャンネルを有し、単長は約800mである。撚線は、外径が0.82mmのNb3Sn素線900本と銅線522本で構成されている。製作された導体の性能を評価するために、長さ約3.5mの実寸導体を用いて、コイル運転条件における超伝導性能を測定した。サンプル導体は、ブロンズ法と内部拡散法の2種類のNb3Sn素線が用いられ、それぞれボイド率が29%と33%の2レベルで、合計4本の導体が試験された。試験の結果、最高磁場11.8T、電流値68kAにおける分流開始温度は、ブロンズ法で6.5-6.7K、内部拡散法で5.7-5.9Kであった。ボイド率の小さい方が0.1-0.2K程度高い温度を示した。どちらも、設計温度5.7K以上であることが確認できた。また、素線の超伝導特性と比較すると、素線に加わった歪みは約-0.7%であった。この値は妥当なものと考えられる。