MgB2/B多層膜のJcの磁場依存性
Magnetic field dependences of Jc of multilayered MgB2/B thin films
山下 裕生
, 土井 俊哉 , 束野 豊 , 日高 佑貴 , 白樂 善則 (鹿児島大) ; 北口 仁 , 高橋 健一郎 (NIMS) ; 波多 聡 , SOSIATI Harini , 池田 賢一 , 中島 英治 (九大)
bt203079*ms.kagoshima-u.ac.jp
Abstract:
我々はこれまでにMgB2中にNi層を導入したMgB2薄膜を作製し、導入したNi層が非常に有効なピンニングセンタとして働くことを報告してきた。今回、MgB2の構成元素であり、単体で半導体であるB層を導入したMgB2/B多層膜を作製し、B層が有効なピンニングセンタとして働くか検討した。MgB2/B多層膜は電子ビーム蒸着法によって作製し、B層は5nm、MgB2層は15nmとした。断面TEM観察結果からB層とMgB2層の積層構造が得られていることを確認した。この多層膜の膜面に平行に磁場を印加しながらJcを測定したところ、B層を導入していないMgB2薄膜と比べてJcが向上していることが確認できた。そして、要素ピン力の印加磁場の依存性は、4Tにおいて最大を示した。4Tにおいて量子化磁束の侵入間隔は約21nmであり、これはB層の中心間の距離とほぼ一致する。これら結果から、薄膜に対して平行磁場を印加した場合、B層がピンニングセンタとして有効に働くことが分かった。