組成を変化させて作製したMgB2+X薄膜の超伝導特性

Superconducting properties of MgB2+X thin films prepared with various compositions


束野 豊 , 土井 俊哉 , 山下 裕生 , 日高 佑貴 , 白樂 善則 (鹿児島大) ; 北口 仁 , 高橋 健一郎 (NIMS) , 波多 聡 , 池田 賢一 , ソシアティ ハリニ , 中島 英治 (九大)
bt203048*ms.kagoshima-u.ac.jp
Abstract:  電子ビーム蒸着法により、組成比の異なるMgB2+X薄膜を作製した。基板にはシリコンウェハーを用い、基板温度250℃で、MgとBの蒸着レートを変えて成膜することで組成の制御を行った。X線回折測定の結果、組成がBリッチになるに従って(0002)回折ピークが低角側にシフトする傾向が見られ、MgB2結晶のc軸長が伸びる傾向が確認された。臨界温度Tcについては、組成が化学量論からずれるに従って下がる傾向が確認された。また、4.2Kにおいて磁化ヒステリシス曲線を測定したところ、BリッチMgB2薄膜のΔMは、化学量論組成のMgB2薄膜より大きな値を示した。これら結果は、Bリッチ組成のMgB2結晶中にはMg欠損もしくはMgサイトへのBの置換が存在し、その欠陥が有効なピンニングセンタとして働いていることを示唆していると考えられる。