MOCVD-YBCO導体の電磁機械特性から見たSMESコイルの蓄積可能エネルギーならびに最適運転温度に関する検討

A Study on Possible Stored Energy and Optimal Operating Temperature of SMES Coil Based on Magnetomechanical Properties of MOCVD-YBCO Conductor


東川 甲平 , 中村 武恒 , 菅野 未知央 (京大) ; 式町 浩二 , 平野 直樹 , 長屋 重夫 (中部電力)
kohei*asl.kuee.kyoto-u.ac.jp
Abstract:  平成16年度より実施されているNEDOの委託事業「超電導電力ネットワーク制御技術開発」の一環として,我々はMOCVD-YBCO導体を用いた電力系統制御用SMESを検討している。周知のようにYBCO線材は,優れた磁界中臨界電流特性を示すと共に,高温超電導線材としては極めて高い機械的強度を有している。この両特長によって,同線材を用いればSMESコイルの高磁界化が可能となり,その際に働く機械的応力にも対応できることが,これまでに行った概念設計の結果からわかっている。一方で,SMESコイルの規模,すなわち蓄積エネルギーに関して,小規模のものでは臨界電流特性が,逆に大規模のものでは機械的強度が同コイル実現における制約因子になることもわかっている。これは,上記の優れた磁界中臨界電流特性と高い機械的強度という特長の双方を最大限に活用することが,同コイルの規模によっては必ずしも達成されないことを意味している。ただし,高温超電導化によるメリット,すなわち運転温度をある程度自由に設定できるということに着目すれば,状況は一変する。具体的には,運転温度によって磁界中臨界電流特性は変化するため,同特性と機械的強度のバランスを運転温度によって調整することができる。これは,SMESコイルの規模によって,上記特徴の双方を最大限に活用できる運転温度がそれぞれに定まることを予測させるものである。そこで本研究では,最大電界,フロー損,およびフープ応力に関して制約を設け,様々な蓄積エネルギーならびに運転温度に対してSMESコイルの最適設計を行うことにより,上記概念の妥当性を検証する。