コイル保護に基づくYBCO線材の安定化層厚の決定法(2)
―適用例―

A criterion based on coil protection for determination of stabilizer thickness of YBCO coated conductors (2)
-examples-


石山 敦士,安東 武利,植田 浩史(早大);塩原 融(SRL)
atsushi@waseda.jp
Abstract:  YBCO線材の開発が急速に進みつつあり、超電導コイルをはじめ、機器応用に向けた試作・開発も行われるようになった。YBCO線材の実用化に向けて安定化層の材料選択や必要量(断面比)を決定するための評価基準の確立が急務となっている。YBCO線材を巻き線・コイル化した場合の熱的安定性は、従来の低温金属系に比べて極めて高く、機械的擾乱等によるコイルクエンチの可能性はほとんどないと言ってよい。しかし、実用機器としての信頼性を確保するためには、電源や冷却系の故障や、地震などの天災などに起因する事故を想定したコイル監視保護システムを構築する必要がある。以上のような背景のもと、本研究では、まず、コイル保護方式として外部抵抗によってエネルギー回収を行う方式を前提とし、発生した常電導領域が断熱的に発熱・昇温するという仮定の上で、コイル蓄積エネルギー、エネルギー回収(電流減衰)、コイル内の最高到達温度の関係を評価する関数について検討を行った。そして、従来の低温金属系の場合と、YBCO線材を用いた場合の比較を行った。次に、この関数を用いて、必要となる安定化層の厚みを決定する方法を考案した。本発表 (2) では、(1) で提 案した決定法の適用例を紹介する。