低温/高温ハイブリッド導体の安定性 (1)
- 導体提案と実験概要 -

Cryogenic Stability of LTS/HTS Hybrid Superconductors (1)
- Concept and Overview of Experiments -


柳 長門(NIFS);BANSAL Gourab(総研大);辺見 努,高畑 一也,三戸 利行(NIFS)
yanagi@nifs.ac.jp
Abstract:  コンポジット型の低温超伝導導体では、純アルミニウムなど抵抗率の低い金属を安定化材として用いることで、導体の冷却安定性を確保することができる。このタイプの導体の発展形として、高温超伝導線材を安定化材として用いるハイブリッド導体を提案する。このような導体では、低温超伝導線材の常伝導転移時において金属と比べてはるかに低い実効抵抗率を有する高温超伝導線材に輸送電流が転流することで、極めて高い低温端回復電流の確保が期待できる。また、純アルミニウムなどの場合、その抵抗率が低いことで安定化材の断面内に均一に電流が拡散するには長い時間がかかり、この間は導体の実効的抵抗率が増大するという問題が生じるが、高温超伝導線材ではこの問題も回避できるため、非定常の最小伝播電流も高く確保できる。このようなハイブリッド導体を実現するために、ニオブチタン線材の隣に銀シースBi-2223線材を多数本束ねた導体サンプルを製作し、安定性実験を行っている。交流損失の軽減のために、テープ線材は、短かい長さのものを束ねて用いることも可能である。