SMES用高温超電導コイルへの適用を志向した固体窒素‐液体ネオンハイブリッド冷媒の系統的作製システム開発と冷却特性評価
Development of Fabricating System and Evaluation of Cooling Performance on Solid Nitrogen - Liquid Neon Hybrid Refrigerant Aimed at HTS coil for SMES


東川 甲平,中村 武恒(京大)
kohei@asl.kuee.kyoto-u.ac.jp
Abstract:  SMESは既に実用段階に入っており、次段階として同装置の高温超電導化が期待されている。この時、運転温度20-40 Kを想定した冷凍機伝導冷却システムが考えられるが、我々は同方式に固体窒素冷媒を付加的に適用するメリットに着目している。すなわち、固体窒素は同温度領域において銅などと比較しても非常に大きな比熱を有しており、その蓄冷効果によって冷凍機故障時への対策となるだけでなく、冷凍機を周期的に停止できることによる更なる冷却コストの低減が可能となる。また、伝導冷却方式では通常無冷媒となるため、従来の低温超電導機器とは異なった熱的挙動に注意する必要があるが、固体窒素を適用することにより熱的安定性の向上が見込まれる。さらに、未確認ではあるが、固体冷媒で含浸することによる機械的補強効果がコイルの電磁力対策となることも期待できる。一方、固体冷媒と冷却対象との熱接触は一般的に悪く、上記メ リットを十分に生かすためには同熱接触の改善が必要不可欠である。そこで我々は、この熱接触改善法として少量の液体ネオンを適用することを提案しており、前回の実験では固体窒素冷媒の耐久面の課題となるドライアウト現象を補償することに成功した。今回は、その熱接触改善のメカニズムの解明と液体ネオンの最適導入割合の検討を目的として、圧力センサとマスフローコントローラを組み込んだ固体窒素‐液体ネオンハイブリッド冷媒の系統的作製システムを開発した。Bi-2223/Agテープ材に過電流を通電することによって同冷媒の冷却性能を評価した結果、相図上の位置からネオンの液化を確認し、その液体ネオンの存在が同テープ材の温度上昇を決定的に抑制できることがわかった。また、その時に必要な液体ネオンの導入量は固体窒素に対して非常に少量であることもわかった。発表当日は、上記冷媒作製システムの構成や実験方法の詳細を報告する予定である。本研究の一部は,科学研究費補助金(特別研究員奨励費),(財)関西エネルギー・ リサイクル科学研究振興財団,および「研究拠点形成費補助金」21世紀COEプログラム(課題番号:14213201)の一環として行っているものであり,ここに謝意を表する。