低温/高温ハイブリッド超伝導導体の安定性 (3)
-大型導体の実験結果 -
Cryogenic Stability of LTS/HTS Hybrid Conductors (3)
- Experimental Results of Big Conductor Samples -
柳 長門
(NIFS);BANSAL Gourab (総研大);辺見 努 , 高畑 一也 , 三戸 利行 (NIFS)
yanagi*nifs.ac.jp
Abstract:
コンポジット型の大電流容量低温超伝導導体では、純アルミニウムなど抵抗率の低い金属を安定化材として用いることで、導体の冷却安定性を確保することができる。このタイプの導体において常伝導転移が生じた場合、安定化材には外部磁場と輸送電流の双方に垂直な方向にホール電流が誘起されたり、有限の磁気拡散時間によって電流が速やかに転流できなかったりするという現象が生じる。このため、実効的に安定化材の抵抗率が増大することになり、導体の最小伝播電流が期待したほどは高くできない。さらに、導体内における安定化材の配置によっては、常伝導伝播速度の非対称性が生じたり、片側に伝播するトラベリングノーマルゾーンなども観測される。このような導体の冷却安定性問題に関する議論をさらに発展させることを目的として、安定化材を高温超伝導線材に置き換えた「ハイブリッド導体」を提案し、その冷却安定性を調べている。実際に、大型ヘリカル装置(LHD)に用いられた導体のアルミ安定化材の部分を切り取り、これを多数本の銀シースBi-2223線材に置き換えたハイブリッド導体を製作して安定性実験を行ったので、その結果を報告する。