高温超伝導SQUIDを用いた水素燃料用CFRP積層アルミライナーの非破壊検査
Nondestructive Testing of CFRP-covered Aluminum Liner for Hydrogen Fuel Using HTS SQUID
廿日出 好
, 代継 浩平 (豊橋技科大);坂口 善樹 (サムテック);田中 三郎 (豊橋技科大)
hatukade*eco.tut.ac.jp
Abstract:
水素貯蔵タンクを搭載した燃料電池自動車の実用化により、環境負荷の低減が期待されている。水素貯蔵タンクとして、炭素繊維複合材(CFRP)にアルミ合金ライナー(内張り)を施した高圧タンクが開発されている。しかし、タンクの構造上、従来技術である誘導コイルや超音波を用いた非破壊検査では、内層のアルミライナー内側に発生する深部欠陥の検出は困難であった。そこで、本研究では、積層構造部材の深部欠陥を非接触で検出可能な、渦電流法ベースの高温超伝導SQUIDを用いた非破壊検査技術が、積層型アルミライナー内部の欠陥検査に適用できるかどうかを実験的に調べた。外層に厚さ3 mm、直径170 mm、長さ230 mmの楕円ドームシリンダー形状のCFRPカバーをもつ、厚さ3 mmのアルミ合金ライナーを複数用意した。これらライナー内に繰り返し過剰負荷を与えて、ライナーの軸方向、および周方向に亀裂が発生したものを検査対象とした。これらタンクの検査のため、高温超伝導SQUIDグラジオメータとダブルD型励磁コイルを組み合わせた非破壊検査装置を開発した。560 μT、7 kHzの交流磁場でアルミ合金ライナーを外側から励磁し、タンクを回転させながら、ライナーに誘導された渦電流による二次的磁場の勾配分布をグラジオメータで測定した。この結果、軸方向および周方向の亀裂箇所周辺で、亀裂による磁場勾配変動を検出することができた。以上より、積層型アルミライナー内部の欠陥検出へのSQUID非破壊検査の適用可能性が示された。