Ni-W基板YBCO線材で巻線されたコイルの交流損失特性
AC loss properties of coils wound with YBCO coated conductors using Ni-W substrates

大輪 美沙 , 川越 明史 , 住吉 文夫 (鹿児島大);岡元 洋 , 林 秀美 (九州電力)
bt202015*ms.kagoshima-u.ac.jp


Abstract: YBCO線材を用いた機器の開発を進めるためには、コイル形状で発生する交流損失特性を把握することが重要である。今回、Ni-W基板のYBCO線材を用いた2つのコイルの交流損失の測定結果(岡元洋他、「液体窒素蒸発法によるYBCO超伝導コイルの交流損失測定(2)」2006年秋季発表)について、理論的な検討を行った。これらのコイルの寸法は、内径113mm、コイル長57.2mmであり、幅4.4mm、厚さ0.25mmのNi-W基板YBCO線材を1層に巻いたものと2層に巻いたものである。通電損失の理論値はNorrisのストリップの式を用いて計算し、これに次の磁化損失の理論値を加えて全交流損失とした。磁化損失については、基板の磁性を考慮しない場合の理論式として、コイル巻線に加わる局所磁界が小さいことを考慮してBrandtの理論式を使うと、全交流損失は測定値に比べて1/2〜1/5と小さな値となった。この差は、コイル巻線に使用したYBCO線材の基板が磁性体であることが影響していると考えられる。そこで、同じYBCO線材の短尺資料を用いて磁化損失測定を行った。そこでは、線材1枚のものと2枚重ねたものについて測定した。これらの結果を用いて、Ni-W磁性基板のYBCO線材で巻線されたコイルの交流損失特性を明らかにした。