MgB2超伝導膜に15nm間隔で挿入したNi極薄層のピンニング効果
Flux pinning effects by introduced very thin Ni layers into MgB2 thin films

日高 佑貴 , 土井 俊哉 , 増田 和幸 , 福山 寛大 , 白樂 善則 (鹿児島大);北口 仁 (NIMS);吉留 健 , 波多 聰 , 桑野 範之 (九大)
mp206026*ms.kagoshima-u.ac.jp


Abstract: シリコン基板上に電子ビーム蒸着法と同軸型真空アークプラズマ蒸着法でMgB2とNiの積層膜を作製した。MgB2層を15nm堆積した後、0.2nmのNi層を堆積する。この操作を繰り返して、トータル厚さ300nmのMgB2/Ni積層膜を作製した。得られた積層膜の断面TEM観察結果から、積層構造が得られていることが確認できた。この積層膜に膜面に平行に磁場を印加しながらJcを測定したところ、Niを挿入しないMgB2膜に比べて大幅なJcの向上が見られた。また、要素ピン力の印加磁場依存性のグラフでは6Tの位置にピークが観測された。6Tの磁場中で量子化磁束線が独立に存在して3角格子を組むと仮定すると、量子化磁束線が構成する平面間の距離は17nmとなり、これはNi層間距離ほぼ一致する。以上のことから、MgB2膜内に挿入したNi層はピンニングセンターとして有効に働いていることが確認できた。