Bi2212及びBi2223超電導厚膜のマイクロ波相互変調歪み特性
Microwave Intermodulation-Distortion Properties in Bi2212 and Bi2223 thick films
伊藤 良幸
, 稲田 亮史 , 中村 雄一 , 太田 昭男 (豊橋技科大)
y-ito*super.eee.tut.ac.jp
Abstract:
近年の移動体通信機器の急速な普及により、将来的に深刻な周波数資源不足が>懸念される。周波数資源の有効利用のための対策の一つとして、高温超電導体を用いた急峻な減衰特性を持つ基地局用フィルタの開発が強く望まれている。一方、超電導体自身がマイクロ波の入出力特性に非線形性を有す問題も併せ持ち、フィルタに複数の信号が入力された際に、この非線形性に起因し、ノイズの主因となる3次相互変調歪(IMD)が発生する。このため、高温超電導体のマイクロ波帯における非線形応答の支配要因を明らかにし、IMDの低減指針を検討することは、導体損失の低減と併せて非常に重要である。我々は、Bi2223厚膜を電極として用いたTE011誘電体共振器において入力電力の3乗に比例して増大するIMD信号を観測し、更にIMD信号が厚膜の超電導特性に依存することを確認した。本研究では、低温において、Bi2223厚膜と比べ、高い通電特性を持つBi2212厚膜をを電極とするTE011誘電体共振器(中心周波数:3.6GHz)のIMD信号を測定した。10.3GHz、20KにおけるBi2212厚膜の表面抵抗Rsは1mΩ程度とBi2223厚膜の値(0.5mΩ)と比較して2倍程度の大きさであったが、20Kにおいて測定したIMD信号はBi2212厚膜の方が著しく低い値を示した。更に、同程度の超電導特性(Jc)を示す温度で測定した場合においても、Bi2212厚膜の方が低いIMD信号を示すことが判明した。