ITER用Nb3Sn導体の超伝導特性に対する電磁力の影響評価と導体設計手法の高度化
Effect of electromagnetic force on the performance of the Nb3Sn conductor for ITER and improvement of the conductor design method
原研
Japan Atomic Energy Research Institute, Superconducting Magnet Lab.
礒野高明,小泉徳潔,布谷嘉彦,濱田一弥,名原啓博,奥野清
isonot*naka.jaeri.go.jp

Abstract :  国際熱核融合実験炉(ITER)の工学設計活動(EDA)では、CSモデル・コイル、TFモデル・コイルの技術開発を実施し、その目標性能を達成した。しかしながら、これらコイルの超伝導性能を詳細に評価した結果、導体の臨界電流値が、Nb3Sn素線が有する性能に基づいて設計した値より低下していることが判明した。解析的検討と検証実験を実施した結果、設計において考慮した歪み(素線とジャケットとの熱収縮差による歪み、及び電磁力がもたらすコイル変形による歪み)以外に、導体に垂直方向に加わる電磁力に起因する新たな歪み(素線が長手方向に周期的な微小変形を受ける)を考慮すべきことが判明した。 この新たな歪みを考慮した導体設計を行った結果、定格条件における適切な運転有度を確保するため、Nb3Sn素線の臨界電流密度を従来の650A/mm2から700A/mm2(ブロンズ法)及び800A/mm2(内部拡散法)まで引き上げる必要が生じた。このため、素線が有するSn量を増加する改良を行って、この要求性能を満たす高性能Nb3Sn素線の量産試作を開始した。 このように、モデル・コイルの実験結果を詳細に評価することにより設計手法の高度化がなされるとともに、本設計手法を用いてNb3Sn素線の新たな要求性能を策定し、量産試作を開始した。
Keyword(s) : ITER,Nb3Sn,大電流導体,ケーブル・イン・コンジット,,