Gd系バルク高温超電導体を回転界磁磁石とする液体窒素循環冷却型同期回転機の研究
Study of HTS Synchronous Rotating Machine with Gd-Bulk HTS Magnets on the Rotor Cooled with Liquid Nitrogen
A東京海洋大工,B国立広島商船高専,C福井大工,D芝浦工大工,E北野精機
Tokyo University of Marine Science and Technology
松崎 弘久A,木村 洋介A,大谷 効A,森田 英祐A,徐 彩宣A,和泉 充A,井田 徹哉B,杉本 英彦C,村上 雅人D,三木 基寛E,北野 雅裕E
hmatsu*e.kaiyodai.ac.jp

Abstract : 高温超電導を用いた推進用電動機や発電機が欧米や韓国等で開発されている[1]。我々は、諸外国をはじめとして主流となっている高温超電導線材を界磁磁石に用いるのではなく、Gd系高温超電導バルク体を界磁子に用いている。電動機構造は、アキシャルギャップ型であり8個のバルク磁石が回転子を形成して空心の主軸と一体となる。電機子巻き線は6個の渦巻き型コイルからなり、バルク磁石8個が円周上に配置された回転子を挟んで6個づつ12個のコイルが電動機躯体に固定されている。バルク磁石は、いわゆるスプリット型配置にある電機子コイルにパルス電流を印加してパルス磁界による着磁を行う[2,3]。従って、回転子に給電や励磁電流を加える必要がない。ブラシやスリップリングのない、鉄芯レスであることが特徴である。これは電動機体格の小型化に重要な要素となる。従来のいくつかの回転機で見られる電機子を回転させるいわゆる反転型では、回転界磁を2層、3層と増やす高出力化の場合に冗長性からスリップリングの数を増やすなどの問題があるが、回転界磁型では界磁の冷却の問題を除けばメンテナンスが容易である。本研究では、回転子内部のバルク体実装部にロ−タリ−ジョイントから主軸内部を通じて冷媒(現在は液体窒素)を循環させ、Gd系バルクの物性に対応した効率のよい冷却構造をとっている。回転界磁は周囲から断熱され、バルク体表面と固定電機子の間(エアギャップ)は高真空に断熱されていわゆるジャブ漬けの構造でないことも特徴である。バルク界磁の磁化は電気子に用いている銅コイルにパルス電流を流すことによって行っている。これまでに3 kW、720 rpmでの動作試験結果を発表したが[4]、推進用や風力発電などの多極低速機に適合すると期待される、この回転界磁型アキシャル型電動機におけるバルク界磁の捕捉総磁束の増量と高出力化をめざしており[5]、(1)印加パルス磁場の波形最適化と印加パルス数の最小化(可能ならば単一パルス化)のためのパルス電源の設計製作、(2)金属含浸処理による磁束運動に伴う局所温度上昇の緩和、(3)複数枚の良質バルクを貼りあわせやピン止め中心の分布の均一化をねらった複合バルク磁石の着磁試験と電動機への実装、(4)液体窒素温度より低温領域への冷却、(5)回転界磁を複層化する高出力化と着磁を試みており、今回は、これらの結果の一部を報告する。本研究は日本財団の援助を受けて(財)シップアンドオーシャン財団が行う技術開発基金の補助を受けて行われた。[1] 例えばhttp://www.ascinc.org/asc04/technicalProgram.asp[2] 杉本 英彦、秋田 義文、本堂 義記、西川 友啓、和泉 充、松崎 弘久渦巻き形コイル及び多層円筒形コイルを用いた高温超電導体バルクのパルス着磁の検討、平成15年度電気関係学会北陸支部連合大会[3] H. Sugimoto et al., Transactions of the Materials Research Society of Japan, 29[4], 1311-1314 (2004),T. Ida et al., Physica C 412-414(2004)683.[4] H. Matsuzaki et al., presented at ASC2004 (4LT07), IEEE Transaction on Applied Superconductivity, in press.[5] 例えば大谷効他電気学会基礎・材料・共通部門大会2004年、森田英祐他、木村洋介他、徐彩宣他、第52回応用物理学会関係連合講演会(2005年春季).
Keyword(s) : 電動機,高温超電導バルク体,パルス着磁,,,